今回ご紹介するのはVインパクトドライバ『TD162D』。
モード設定の他、ゼロブレやワンタッチビットスリーブなど様々な機能を搭載したフラグシップ機種。
「4つの楽らくモード」+「打撃モード4段階」で作業に合わせた設定が可能。
ただ、18Vでは『TD162D』の兄弟機「TD172D」の後継機「TD173D」が発売されたのに対し、「TD163D(仮)」が発売されなかったのはやはり14.4Vの終焉が近い証拠か???
今回はそんな14.4V最後のラインナップかもしれない『TD162D』についてレビューしていきます。
こんな方にオススメ♪
- この先14.4Vで生きていく覚悟ができている
- 作業効率をできるだけ向上させたい
- 過酷な環境(屋外・塵埃)での作業が多い
別の機種が良さそうな方
\当ブログの推しインパクトドライバまとめ記事はコチラ/
TD162Dのラインナップ
TD162DZ/TD162DZB:本体のみ
本体色 | 青/黒 |
バッテリー | 無し |
充電器 | 無し |
収納ケース | 無し |
その他付属品 | No.2(+)ビット、フック |
TD162DRGX/TD162DRGXB:バッテリー2個(ハードケース)
本体色 | 青/黒 |
バッテリー | 6.0A×2個 |
充電器 | 付属 |
収納ケース | ハードケース |
その他付属品 | No.2(+)ビット、フック |
TD162Dの価格帯
ラインナップ | 定価 | Amazon価格 (2023年11月現在) |
---|---|---|
TD162DZ(B) 本体のみ | 24,100円 | 16,700円 |
TD162DRGX(B) フルセット | 79,600円 | 56,800円 |
TD138DZ (本体のみ) | 16,600円 | 12,000円 |
TD172DZ (18V:本体のみ) | 24,400円 | 24,000円 |
TD173DZ (18V:本体のみ) | 29,700円 | 19,950円 |
インパクト単体のみで16,700円、バッテリ付のフルセットなら56,800円となかなか高価な機種です。
同じ14.4Vの「TD138D」と比べると実販売価格で5,000円弱の違い。
18Vの同スペック機種「TD172D」は今や後継機の「TD173D」が発売されたため、反対に在庫僅少。希少価値が出て価格がつり上がってます。
後継機の「TD173D」の方がスペック高いのに価格が逆転。
もし14.4Vでなくてもいいのであれば「TD173D」に行く方が良い選択かと思います。
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TD162Dの外観とサイズ・重量
外観・基本スペック
今回購入したのは『TR162DRGXB』。
セット内容は以下の通り。
TD162DRGXBのセット内容
- インパクトドライバ本体
- バッテリ(BL1460B)×2個
- 充電器(DC18RF)
- No.2(+)ドライバビット
- 取扱説明書(PDF版はコチラ※マキタ公式HP)
ちなみに、ケース自体、防塵・防水構造(IP65)となっており、水が掛かる可能性がある場所や粉塵環境でも安心して保管・持ち運びが可能です。
バッテリー(6.0Ah)取り付け。
ヘッド長がかなり短く取り回しの良さがうかがえます。
公式HPでもTD162Dの特徴として「優れた隅打ち性能でカムアウトを低減」とあり、スリムなボディから壁際や床に近い位置の作業も快適にこなせます。
6.0Ahバッテリ装着時で約1.4kg。
大容量バッテリ積んで個の重さ。
最近のインパクトはホントに軽くなってますよね。
また、ビットのブレを抑える「ゼロブレ」により、特に長いビット使用時の振れが大幅に低減されてます。
豊富な機能を搭載
機能 | 内容 |
---|---|
モード設定 | 8モード |
ビットワンタッチ取り付け | 対応 |
防水・防塵 | APT |
Bluetooth通信 | 非対応 |
ライトモード | 対応 |
モード設定は全部で8モード
『TD162D』では楽らくモードとパワー設定で全8モードの選択が可能。
まず「楽らくモード」では木材、ボルト、テクス(薄板)、テクス(厚板)のモードを搭載。
用途に合わせて、あらかじめ設定された回転速度に自動で変速されるので、作業をより効率的に行いやすくしてくれます。
モード | 用途 | 特徴 |
---|---|---|
木材 | 長いネジなどを締め付ける場合など | 締め始めのネジ倒れを起こしにくくする。 打撃開始前は低速で回転し、打撃開始後は自動で最速になる。 |
ボルト | ボルトネジを緩める場合など | ボルトの脱落を防ぎやすくする。 逆転でボルトを緩める際、ボルトの緩みを検知すると自動で回転を停止する。 また、最高回転数になるまでのトリガの引き代が短くなる。 |
テクス (薄板) | 比較的薄い鋼板に対し、 テクス用のネジを締め付ける場合など | 作業性を維持しながら、仕上がりを重視したい作業向け。 特にネジの締めすぎを軽減する。 打撃開始までは高速で回転し、打撃が始まると自動で回転を停止する。 【目安】 ・テクスネジ径:3.5~4.0mm ・鋼板厚(合計板厚):1.6~2.0mm |
テクス (厚板) | 比較的厚い鋼板に対し、 テクス用のネジを締め付ける場合など | 作業性を維持しながら、仕上がりを重視したい作業むけ。 特にネジ折れやネジの頭飛びを起こしにくくする。 打撃開始までは高速で回転し、打撃が始まると自動で回転を遅くする。 |
モード | 最大打撃数 | 作業例 | 詳細 |
---|---|---|---|
最強 | 3,600回/min | 下地材、長ネジ、ボルト の締め付け | パワーやスピードを優先したい作業 |
強 | 3,400回/min | 造作作業時のネジ締め ボルトの締め付け | 最強モードほどの打撃力を必要としない作業 |
中 | 2,600回/min | 仕上げ材、石膏ボード などのネジ締め | 仕上がりを重視する必要がある作業 |
弱 | 1,100回/min | サッシネジ、M6程度の小ねじ などの締め付け | 締めすぎるとネジが破損する等、 力を抑える必要がある作業 |
各モードをうまく使いこなせば、より効率的かつ安心して作業できますね。
ワンタッチビットスリーブ
ビットの挿入時にわざわざスリーブを引っ張る必要がない、「ワンタッチビットスリーブ」を搭載。
特に普段からビットの付け外しが多い方にとって、1手間減るだけで意外と作業効率変わってくるかと。
1回ワンタッチを経験してしまうと、ワンタッチじゃない機種を扱うときに地味にストレスを感じてしまうようにw
APT搭載で過酷な環境下での作業も安心
『TD162D』ではAPT機能を搭載した防塵・防滴設計となっており、過酷な現場作業でも安心して作業可能です。
屋外で雨に打たれる可能性がある、木くずや鉄くず他、粉塵の多い環境などで故障しにくいよう配慮した構造となってます。
APTについては以下の記事で、IPとの違いも含め解説してます。
ちょっとしたライト代わりに使える
LEDライトはヘッドの両側に計2灯を搭載。
両側から2灯で照らすのでビットやヘッドの影ができにくく、より作業しやすくなってます。
また、ライトモードを搭載しており、簡易的なライトとして使用することも可能です。
1時間連続点灯してくれるので、手元にライトが無い。。。時に便利です。
他機種との比較
同じ14.4Vの「TD138D」と比較してみます。
TD138D | TD162D | |
---|---|---|
モータ | ブラシモータ | ブラシレスモータ |
最大トルク値 | 160N・m | 175N・m |
最大回転数 | 2,400回転/分 | 3,400回転/分 |
最大打撃数 | 3,200回/分 | 3,600回/分 |
モード切替 | 無し | 全8モード |
その他機能 | LED,APT | LED,APT,ゼロブレ ワンタッチビット |
Amazon価格 (本体のみ) | 12,000円 | 16,700円 |
まず、駆動部(モータ)に違いがあり、『TD162D』の方がブラシレスモータで省メンテかつ省エネ・コンパクト。
ヘッド長は約20mmの差があり、取り回しも『TD162D』の方がGOOD。
大きな違いはモード設定の有無。
「TD138D」は強弱設定すらもできないので、すべてはトリガー操作をする自分の腕(指)次第。
もちろん玄人であれば余計な機能が無い方が使いやすいとの声もありますが、やはり作業効率・正確さを求めるのであればモード設定は欠かせない便利機能。
それら違いが反映されて、価格差としては実販売価格で5,000円弱。
ご自身の作業内容に合わせて、どっちを選択するかかなと思います。
なお、DIYレベルなら作業率は度外視して「TD138D」で事足りると思います。
実際に使ってみる
コーススレッドやらピアスビスやら試し打ち
材料 | 太さ×長さ | モード |
木材 | Φ3.3×45mm | 弱(1) |
Φ4.8×90mm | 最強(4) | |
Φ5.2×120mm | 最強(4) | |
Φ4.8×90mm | 楽らく(木材) | |
LGS | Φ4.0×13mm | 弱(1) |
楽らく(テクス薄) | ||
鉄板t3.0mm | Φ4×10mm | 楽らく(テクス厚) |
単管ボルト | ー | 楽らく(ボルト) |
杉材コーチボルト | Φ9×75mm | 楽らく(ボルト) |
材料・ビス・モードを変えながら試し打ちしてみました。
楽らくモードは使い始めはやや戸惑いますが、慣れてしまえば非常に便利。
木材を打つときにカムアウトを低減、テクスビスを打つときに頭飛びや締めすぎを防いでくれたり。
ボルトを緩めるときの自動停止は一度体感してしまうとおそらく手放せなくなるのでは?ってほど便利です。
コーススレッド120mmのビス打ち速さ
当ブログでは120mmのコーススレッドのビス打ち速さで各機種を比較。
※木材硬さの違いや、トリガーの引き方の微妙な違い等の条件で誤差は多少あるかと思いますが、参考までに。
175N・mの最大トルク値をもち、ビス打ち速度もそれなりに早いです。
発売当時は最速レベルだったかと思いますが、18Vの後継機「TD173D」等やHiKOKIの「WH18DC」やひいては10.8Vの「WH12DCA」等がでてきてるので、特段早い!とは言えなくなってきているのが現状。
下位機種の「TD138D」ともほぼビス打ち速度は変わらないので、モード設定等の高機能は求めない方は、『TD162D』を選択してもあまり恩恵は受けられないかなと思います。
TD162Dのメリット・デメリット
というわけで、情報をまとめると。。。
メリット | デメリット | ||
〇 |
楽らく・強弱の全8モードを搭載 | ✕ |
TD138Dと比べて5,000円ほど高い |
〇 | ヘッド長118mmで取り回し抜群 | ✕ | 作業内容・腕次第ではモード設定機能は宝の持ち腐れになる可能性あり |
〇 | APTやワンタッチビットなど豊富な機能を搭載 | ✕ | 衰退気味の14.4V機種 |
というわけで、冒頭にも記載してましたが、『TD162D』をオススメできる人は
こんな方にオススメ♪
- この先14.4Vで生きていく覚悟ができている
- 作業効率をできるだけ向上させたい
- 過酷な環境(屋外・塵埃)での作業が多い
別の機種が良さそうな方
- まだ14.4Vに足を突っ込んでない。or 14.4Vから逃げ出したい
⇒18Vフラグシップ「TD173D」 - 作業効率はあまり求めてない
⇒14.4Vミドルエンドモデル「TD138D」
まとめ
ということで今回は『TD162D』をレビューしました。
さすがのフラグシップモデルだけあって機能が豊富で、14.4Vを主戦場にしている方にとっては最高のインパクトになると思います。
が、やはり衰退気味の14.4Vというところは考慮すべき点。
この先も長く電動工具と付き合っていくなら、ややバッテリ投資は必要ですが、18Vもしくは10.8Vに移行していった方が良いのかなと考えます。
では。みなさんが自分に合った電動工具に出会えることを願って。