電動工具のカタログで「IP○○」ってたまに見かけるけどあれって何?
マキタのAPTも何か似たような感じっぽいけどあれも何?
何かとりあえずカタログの絵からすると、ホコリとか水とかに強そうな感じ?
そのイメージでOK。
でもちゃんと知っておいた方が、工具を長く愛用できるので今回は保護等級について解説していくよ。
IPとは固形物体や水に対する保護性能を表す規格
IPは世界共通
IPとはInternational Protectionの略で、色んな製品の「固形物体や水に対する保護性能」を表すための規格になります。
IEC(国際電気標準会議)という電気・電子工学の関連技術を扱う団体によって標準化されており、「IP○○」と記載があれば全世界共通で、これだけの保護性能を持っていると共通認識を持てるわけです。
IPの後に続く数字で性能を表す。
IPの後に続く数字で固形物体(と書くと堅苦しいので以降はチリと書きます)や水に対する保護レベルを表しており、数値が上がるほど、性能が高くなります。
基本的にIPの後には2つの数字(もしくはX)が並び、IPの一つ後の数字(第一特性数字)がチリに対する保護等級を表し、2つ目の数値(第二特性数字)で水に対する保護等級を表します。
例) IP00、IP10、IP34、IP56、IP0X、IP3X、IPX1、IPX6
急に「X」とかいう文字がでてきたけど?
「X」はそこの保護等級については定めないとの意味
つまり、IP0Xであれば「チリに対する保護はなし、水に対しては決めてない(保護があるともないとも言わない)」、IPX1であれば「チリに対しては決めてない、水に対してはちょっと保護してるよ」との意味になります。
チリに対する保護
数字 | 保護レベル |
0 | (無保護) |
1 | 直径50mm以上の大きさの固形物が侵入しない。 直径50mm≒人のこぶし |
2 | 直径12.5mm以上の大きさの固形物に対して保護。 直径12mm≒人の指 |
3 | 直径2.5mm以上の大きさの固形物に対して保護。 直径2.5mm≒工具 |
4 | 直径1mm以上の大きさの固形物に対して保護。 直径1mm=針金 |
5 | 防じん形(粉塵に対して保護) ※塵埃(ちり・ほこり)の侵入を完全に防止できるわけではない 機器の正常な作動に支障をきたしたり、安全を損なうほどの量の粉塵が内部に侵入しない。 |
6 | 耐じん形。 塵埃の侵入があってはならない。 |
水に対する保護
数字 | 保護レベル |
0 | (無保護) |
1 | 防滴Ⅰ形 鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を受けない。 |
2 | 防滴Ⅱ形 鉛直から15°の傾斜範囲で落ちてくる水滴によっても有害な影響を受けない。 |
3 | 防雨形 鉛直から60°までの角度で噴霧した水によっても有害な影響を受けない。 |
4 | 防沫形 あらゆる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない。 |
5 | 防噴流形 あらゆる方向からのノズルによる噴流水をによっても有害な影響を受けない。 |
6 | 耐水型 あらゆる方向からのノズルによる強力なジェット噴流水によっても有害な影響を受けない。 |
7 | 防浸形 定められた条件で水中に沈めても内部に水が入らない。 |
8 | 水中形 関係者間で取り決めた数字7より厳しい条件下で水中に常時没して使用できる。 |
IP56は防じん形+耐水形を表す
マキタやHiKOKIの上位機種やケースでよくみられる「IP56」は何を表すかというと、
ちりやホコリの侵入は完全には防げないけど有害な影響はなし。
水は直接かけられても中に水が入らないような構造になってる。
その通り!
ちりやホコリが舞いやすい塵埃環境や突然の雨にさらされる可能性のある屋外環境ではIP56の保護等級を有した機種の方が、保護等級を持っていない機種よりも影響を受けにくくなってます。
ですので、そういった過酷環境下での使用がメインとなる方は、IP等級を一つの基準に工具選びをされる方が良いです。
ではマキタのAPTとは?
マキタには「APT」と呼ばれる機能を持った機種が多数ラインナップされており、上の画像の様に防塵・防水機能を有していることを指しております。
ん?さっきのIPと何が違うん??防塵・防水ならIPと一緒じゃん。
規格に準拠しているかどうかの違い
マキタの「APT」はあくまでもマキタの独自仕様の名称。
マキタ独自で「粉塵や水に対する影響を考慮した設計をしてます」と言っており、先に説明したIP規格としての定義に当てはまるわけでは無いということです。
IP○○を謳うには当然定められた試験を実施して、クリアする=規格に準拠する必要があります。
「APT」が試験を実施していないだけでほぼIP56相当の保護性能を持っているのか、はたまた試験したけどクリアできなかったのは定かではありません。
が、メーカーとして防塵・防水を前面に押し出している以上、IP56相当の保護性能は持っていると筆者としては考えております。